世界/もも うさぎ
いた。
あたしはただ呆けて、眼下のパノラマを眺めていた。
突然
これがすべての世界なのだ、と 理解した。
メトロの駅も、オフィスも、ひとだかりも偶像でしかなくて、
それらをただ 時計台の鐘を鳴らすように
世界を管理する
それが あたしの仕事なのだ、と。
突然目の前が明るくなり、
とても大きい 白く
蒼く澄んで 光り灯された まるい星が
ぽっかりと浮かんだ。
月だ
異様な大きさの 月の出現は
驚くどころかあたしたちを喜ばせ
となりにいた彼は
ガラスの窓をあけて、外に
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