ロシアパンを売る少女(reprise)/mizu K
 

ひとり
立ち
パンを売る
その姿

夜には同じ場所で
あいつらがロシアンルーレットに興じるのに
その同じ場所で
ああなんてことだ
チェロ弾きがアニュス・デイを弾いている
冬枯れの午後

路上の絵描きが
わら半紙に絵を描いて売っている
たとえばそれは足早な人の顔
つばを吐きすてる顔
ゆかいに肩をならべて歩く酒のみ
赤子を抱えてつかれた様子の女
枝きれもって世界にこわいものはなにもなしの子ども
ステッキをもち人生の夕べに三本足で歩く老人
ぺたんと座った絵描きの目の前を
多くの足が通りすぎていく

その貧しいロシアパン売りの少女は
「ロシアパンを売る少女
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