白い夏/前田ふむふむ
つづき、
難民は、ひかりを求めて、
小さなコーヒー店に集う。
「コーヒーは、処方箋にしたがい、
正確にお飲み下さい。」
遥かに、また深く、
一面、青さが滲みこんでいる空に、
瀑布が、崩れるように流れた。
・・・・・・・・・
羽虫が練磨された床を這うように飛ぶ。
遥かに硝子張りの天井まで広がる自由は、
採光を惜しみなく享けている。
低い翅を鳴らして、
此の儘でいたいと、
わたしの切りたつ葬列が、耳元でつぶやく。
聡明な白い肖像のような人々が行き交う、
新宿の交差点を隠れるように歩いた記憶。
眼を突き刺
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