純白恋夢/愛心
。
「おやすみ。私の友達」
姫は鳥籠の扉を開けて、にっこりと微笑む。僕は、小さな声で啼いた。
どれくらいたっただろう。僕は眼を覚ました。姫君は小さな寝息をたてている。
やはり、愛しい。
起こさないようこっそり羽ばたき、窓枠に座る。
紺碧の空に、白銀に輝く月が浮かんでいた。
この月が東に沈むとき、彼女が、花嫁になる。
静かに、月に向かって願いをかけた。
「僕を…人間にして下さい…。翼を残した人間に…」
涙がくちばしをつたい、窓枠に落ちる。その時だ。
《人間にしてやろうか?》
炎や風や雷鳴、波が打ち寄せ、樹がざわめく。
自然界のような声は、優し
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(2)