純白恋夢/愛心
 




「おやすみ。私の友達」

姫は鳥籠の扉を開けて、にっこりと微笑む。僕は、小さな声で啼いた。

どれくらいたっただろう。僕は眼を覚ました。姫君は小さな寝息をたてている。

やはり、愛しい。

起こさないようこっそり羽ばたき、窓枠に座る。
紺碧の空に、白銀に輝く月が浮かんでいた。
この月が東に沈むとき、彼女が、花嫁になる。

静かに、月に向かって願いをかけた。
「僕を…人間にして下さい…。翼を残した人間に…」

涙がくちばしをつたい、窓枠に落ちる。その時だ。

《人間にしてやろうか?》

炎や風や雷鳴、波が打ち寄せ、樹がざわめく。
自然界のような声は、優し
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