純白恋夢/愛心
」
僕はうずくまった。聞きたくない。これほど酷い拷問はない。
姫は続ける。
「あの方はお美しい人でね、どんなこともお出来で、どなたにでもお優しいの」
そして小さなため息。
僕は自分の醜い足を見ていた。
『僕が人間になれたら…な』
醜い足を視界から隠す。自分が惨めになるだけだ。
「ほら、この方よ」
僕は恐る恐る、頭を持ち上げた。姫の甘い匂いが、鼻をくすぐった。
目の前には、美しい青年の絵があった。
赤みがかかった茶色の髪。健康そうな色をした肌。碧の瞳が僕を見つめている。
細いが、がっしりとした体。優しい表情。
美しい輩。嫉妬しか出てこない。
姫君は絵をしまった。
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(2)