純白恋夢/愛心
 



彼女を置いて、自由になんかなりなくなかった。
くるりと戻って来て、彼女が流した涙を飲み込む。
僕が出来る、唯一の慰め方。

「ありがとう…」

姫の涙は、僕の羽をじわりと濡らす。いつもそうだ。
姫君の為に、僕は人間に、翼を持った人間になりたいと、心から思った。
そうすれば、二人で外の世界へ翔んで行ける。

ある日のこと姫君は、夜空に輝く満月に、穴を開けたような指輪を貰った。
隣国の王子からの、求婚のシルシ。

彼女がとても喜んでいるのは、僕の眼から見ても明らかだった。
僕の足の裏から、指輪の冷たい感触がする。
その日から彼女のもとに、いろんなものが届いた。
宝石。織
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