純白恋夢/愛心
赤く染めた。
痛みは感じなかった。陽が沈み、空が色を変えても、手は動き続けた。
疲れを忘れた白銀の体が、ぼろぼろに汚れていった。
夜空が薄紫色に変わる頃、僕は姫君を埋めた。穴は、姫の亡骸を、優しく包んでいる。
膝で立ち、少し体を屈めた。姫君の顔が、目の前にある。
小さく呼吸し、ほとんど色素の無い唇に、短い、くちづけを交わした。
土をかけ、花を添え、涙が止まるまで目をつぶる。
「あちらの世界で、また、飼ってください。」
誰も聞くことのない一人言。
「あなたの事が、好きでした」
もし聞こえたら、それは罪深き告白。
僕は静かに礼をすると、真っ直ぐ、太陽に向かって翔んだ。
どれ
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