純白恋夢/愛心
 





泣いた。姫の体を抱き締め、泣き続けた。
僕が彼女を殺した。
僕には翼がある。彼女を、外の美しい場所に、埋葬しようと思った
窓枠に足をかけ、姫を抱き抱えた。少し小さい窓から、前につんのめる。
宙に浮かんだ足を、窓の下の壁につけた。
ふと、下から、ざわめく声を聞いた。
見ると、姫君の父上らしき初老の男と、絵の青年が、僕等をにらみつけていた。
その後ろに、王の妃だと思われる若い女と、数十人の兵士がいる。

僕は深呼吸して、姫君を強く抱き締めた。
壁に足裏をぴったり付け、前を見つめる。息を止めた。そしてぐっと、壁を蹴った。
体が宙に放り出される。その瞬間、下から悲鳴が聞こえた。
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