純白恋夢/愛心
しかし、僕の心に広がるのは、とてつもなく大きな悲しみだった。
僕のせいで彼女は、美しいだけの、動く人形になってしまった。
日々やつれていく彼女は、僕が採った木の実を、ほとんど食べていない。
僕が食べさせなければ、餓死していたかもしれない。
僕が顔を覆った、そのときだった。
「お前は幸せね」
懐かしい声。
「姫…?」
姫は僕を真っ直ぐ見つめていた。瞳には、心なしか、かすかな光が宿っている。
「私が、空に放てば…」
彼女はそこまで言うと、時が遅くなったように、ことり、倒れた。「姫…?姫君?!」
僕は鳥籠を開け、中に入った。姫は綺麗な姿で倒れたまま、息を、していなかった。
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