食の素描/平
ルに座る人間の数だけの、食の群像がある。
大皿いっぱいに料理をひしめかせ、そのすべてをドレッシングの海に沈めている者。
ベーコンとソーセージだけを皿に積む者。
温野菜と水だけをテーブルに並べる者。
新聞とコーヒーをメニューのすべてと定めている者。
その姿は様々だ。
食事の形態でその人となりをすべて推し量ろうとするのは暴論だが、
しかしその人となりの一端は、確実に朝の皿の上に顕現する。
それは、ディナーコース、ランチセットで垣間見ることは能わない。
何を選ぶか、何を選ばないか。
どれだけ喰うか、喰わないか。
経済的負担を一律前払いというシステムで処理され、
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