食の素描/平
べてが食事手の自由裁量にゆだねられる「朝のホテルバイキング」という形式においてのみ、
人はその欲望・嗜好・性癖の一端を顕にする。
また、夜の眠りを通し空洞となった胃袋がもたらす強烈な食欲にさいなまれ、
自らの欲求が最大化している状態。
そして、その欲求を抑える外的要因が殆ど存在しない舞台。
それこそが、昼と夜の食事にはない、
「朝のホテルバイキング」が持つ最大の特異点である。
その特異性に屈し、知らずと己を露呈させる者。
それは、朝のバフェという勝負において、明らかに敗者である。
最大限に膨れ上がった食欲を御しながら皿の上の組み立てを考え抜き、
そのバフェメニューにおけるベ
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