食の素描/
 
あおっていた。
気がつくと眠っていた。

腹が空いている。
昨日の昼飯から何も食べていない。
腹が空いていた。

ルームサービスを取るほどの余裕は、財布にも胃袋にもなかった。
シャツを羽織り、ロビーに降りる。
屹立する黒のボウタイを探すまでもなく、
フロント右手の奥から脂の焦げる匂い、パンの焼ける匂いがこぼれだしている。
鼻から胃にかけ、ずしんとした食欲に殴りつけられる。

駆け足をこらえるように、レストランへ歩み入る。
バフェ形式のモーニングスタイル。
朝の日光にきらめく銀色の保温容器。
中に盛られているのは、艶めく桃色のベーコン、ソーセージ。
黄金色のスクラン
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