『氷点』/東雲 李葉
 
息まで凍りそうな冷たい冬。
赤が覗くささくれ。傷付けるのは楽しいですか?
突き刺さるような冷たさが温もりあるものすべてを苛む。
真っ白な雪がきれいなのだと人は言うけど、
あたしは怖いの。美しさに埋もれて死んでいくこと。
世界中に静寂が溢れる夜。
何処かで誰かが熱を奪われ殺される。
それがあたしじゃないかって不安で不安で潰れそうなの。
かじかんだ手は誰かに触れてようやく自分の冷たさを知る。
自分の冷たささえ分からないまま氷に姿を変えてしまうから、
かじかむ夜は誰かがいなくちゃ生きられない。
やがて息まで凍り尽くされあたしの呼吸は静かに途絶える。
姿を消し
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