ジギタリス/ピクルス
何度も振った。
水玉が滲んで、奥歯を噛んで、
微笑んだ。
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「ジギタリス・ロゼ」
『三番ホームに列車が参ります。危険ですから白線の内側まで、お下がり下さい』
いつもこの電車には、あの美しい人が乗ってる。
僕は、こんなだから、それでも見てるだけで幸せな気持ちに、なるんだな。
気持ちを伝えたくて、手紙を書いたけど、渡せないまま半年が過ぎた。
その日、あの人は痴
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