ジギタリス/ピクルス
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「ジギタリス・フリュイ」
薄暗い階段を降りる時にはいつも、
自分が誰かに変われるような錯覚を起こすの。
この、地下にあるバーは、
秘密基地みたくで私は気に入ってる。
スコットランド産レンガの内装も落ち着くし、
無口なマスターのカクテルも悪くないやね。
常連も静かなのばかりで、百姓みたいに騒いだり、頼みもしないのに隣に座ってウンチク傾ける勘違い野郎も、居ない。
今夜も、べろべろに酔いながら、
彼を寝取った砂糖菓子のような喋り方するクソ女に、
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