かぜになる/アオゾラ誤爆
 
次の景色をみる。 
こまやかに髪が洗われていく。シャボンの香りを連れてくるのは、風。 
錯覚の教師の声にびくついて、耳をすませ/安堵したわらいを漏らす。 
すり切れた鞄からトイカメラを取り出してさんさんと落ちてくる太陽を閉じ込める。 
あらわれた映画色の世界のなかに、たったひとつの居場所を見つけて/浸る。 
まえへ、まえへ 
散歩中の犬の唾液が/しみたアスファルトを踏みつけ行く、
きみはとおざかるきせつのうたを聞こうとしてる。/聞いている 
走れるっていうことは、とべるってことだったよ、きみは彼の嘘をみずからに溶け込ませながら 
途切れない構造のフィルムを網膜にうかべ
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