創書日和「淡」/虹村 凌
 
僕がいるこの街について
君が知る事は殆ど無い
僕がここにいる理由のほかに
何を知っているのか聞きたいくらいだ
それは僕も同じで
君がいるその街について
僕が知る事は殆ど無い
君がそこにいる理由のほかに
何も知っている事なんて無いんだ

ねぇ
あの街のあの喫茶店を覚えてるかい?
二人して適当に選んで入ったあの喫茶店は
なかなか良い雰囲気で
美味しい珈琲を飲ませてくれるお店だったね
珈琲に砂糖をミルクをとかしてかき混ぜる仕草を
今でも覚えているなんて
少し変だよねぇ
僕も時々だけど
珈琲に砂糖とミルクを入れるようになったよ

そうだ
今度どこかに行こうよ

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