書店員の一日/吉田ぐんじょう
アダルトコーナーの整理などしていたら
立ち寄った警察官に
きみ小学生でしょ
と捕まりそうになったので
慌てて逃げた
いつもこうだ
何も逃げることはなかったのに
逃げることなんて
この世にいくつもない筈なのに
・
やがて時計の針が動き
営業時間が過ぎたことを知らせてくれる
わたしは
店内にまだ残っている
見えない人達や
アダルトコーナーで突然に
性に目覚めてしまった少年少女の抜け殻や
誰かが思い出したまま
そこに置き忘れた初恋の人の残像
なんかを
一つのこらず追い出してしまって
電気を消してシャッタ
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