書店員の一日/吉田ぐんじょう
 
ッターを下ろす

うっかりするとシャッターに
自分の影を挟んでしまい
足元から剥がしとってしまうことがある

そういうときにはセロハンテープで
元通り貼り付けなおすのだが
いつも微妙にずれてしまう

だからわたしの影は
他の人より少し曲がっていて
足を踏み出すとぱりぱり云う


真っ暗な夜を切り裂いて帰宅するときは
いつもスピードを出し過ぎてしまう
別に早く帰りたいわけではなくて
何か大きいものに追い掛けられている気がして
どうしようもなく怖いのだ
追い掛けてくるものは
おそらく明日なんだろうと思う


遠く
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