両刀論法の彼方に/榊 慧
 
詮、机上の論理は机上の論理に過ぎないし、感情論になど流される気など毛頭無い。


真意を問われた時ほど人間焦燥を覚えるものである。
そう言ったのは誰だったか。

抑制の効かない感情。

自分は戦場に行かねばならないのに、
そうであるはずなのに、この腑抜けた感情が自分を占める。
自分の色々なところに、綻びが出来始めている。

だが、そんな弱い己を認める訳にはいかなかった。

自分は、強くありたかった。
弱くなるのなら、脆くなるのならばいっそ、総てを失いたかった。


否定するからこそ、その言葉の真意に嵌る。人間というのはそういうパラドックスドールなのだ。


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