一足先に抜け出したきみへ/udegeuneru
いたけど、僕は流されて目の前からいなくなった。
きみはそのとき、上の方から光が射しているのを見たのだろう。
そして光に向かって進みはじめた。
体はどうしようもなく疲れて
こわくて泣きながらも
それでもこの海のどこかには僕がいると思って
光をもとめて進んだ
そうやってきみは暗い海の底から抜け出したんだ。
きみはすごいやつだよ。
僕の見込み通りだったよ。
一足先に抜け出したきみよ
そこで自由な心を手にしたんだね。
そこは恋の喜びに溢れているんだね。
きみは、よく通る声で、海の底の僕に呼びかけた。
目を覚ましなさい、いつまでもそんなところにいたらダメよ
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