Dont't stop the rain./汐
口先と行動は、根が平々凡々で在る僕の場合必ずしも紙一重に為らない。悪魔で、解り切っている事だ。
会社の連中は、地味な僕が突然派手に辞職したので、今頃勢い余って単身渡米でもして大物ライターと為り、ニューヨークのブロンド娘と電撃ゴールインでもしたのではないかとでも噂して居るだろうか。半ば大袈裟では有るが、そう考えると、情けなさと同時に、申し訳なくも有る。
「自ら跡を濁した立つ鳥は、誰に強いられずとも其れなりの責任を果す義務が有…って、御前なぁ。猫の手は借りる物で、人の邪魔を為る物じゃないんだぜ。」
キーボードに尻尾を渦巻いて、此方を悪戯に眺める、僕の恋人。名前はアサヒ。此奴が捨てられ
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