Dont't stop the rain./汐
な癖にプライドが高い理想家で、言うなれば損ばかりを繰り返して来た。一言で言えば、不器用なのだ。僕の若くしての自信過剰は、先刻も述べたように少なくとも人生にプラスの要素こそ与えては来なかったし、道に逸れる事で如何うにか点滅為る存在意義を確立しようと足掻けば足掻くだけ、矢張り平凡に留まった。
しかし、僕が二十数年築き上げて来た鉄壁のプライドは、そう簡単に崩れる訳も無く、何年経っても又こうして同じ事を繰り返し、怠惰なだけの朝を迎える。
あれからという物、僕は日々ネットでは夢を渡り歩き、現実では相変わらず家賃二万の曰く付きアパートで原稿料による不安定な収入を、全て愛猫の餌代に捧げて居る。
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