「 当世触場事情、其の一。 」/PULL.
にはまだ「ツボ」に入りきっていないとユリさんは言うのだが、その姿はもうすっかり「ツボ」に入りきっていて、同期の正触員などよりもずっと、貫禄がある。ユリさんはここの派遣のまとめ役のような存在だ。
だからというのでもないのだろうが、ユリさんには、触場に慣れなかった頃から色々と話しかけてもらったり、飲みに連れて行ってもらったりした。
あたしはユリさんが好きだ。ユリさんがいなかったらあたしはまた、前の派遣先みたいにひとりで、孤立していたかもしれない。飲みに行くと最後にはべろべろに酔っぱらって、過去の悲しい失恋話でくだを巻くのが「タマニキズ」だけど…あたしはそんなユリさんが大好きだ!。
でも、ユ
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