/渡邉建志
、単音の長さのなかにあなたを想像することしかできない。あなたはおとこかもしれないし、おんなかもしれないし、そのどちらでもないのかもしれない。でもたしかにあなたはぼくとおなじなにか(ひとなのかもしれないし、そうでないのかもしれない)だということ。
あー
20年前の少女の大声が聞こえる。彼女は小声でしか話さない人なのに、大きな声で叫んでいた。水上ホールで、わたしはとてもしあわせですー、こんなひろいところにいますー、わたしはそれを今うけとっていた、あなたの見えない幸せを今、だれよりもまっすぐにうけとっていた。
ぼくとあなたが非実体を通して繋がっているのなら、ぼくはたぶん死んでもい
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