不器用のむこうがわ。/哀詩
 
 

あなたが知っているのは遠くの記憶と貶めかたであり、
それらをもってしての言動にはいつも薔薇のような棘がつきもの
いくつも刺さってしまえば、存外痛くないことに気が付いた。
(小指をぶつけたら痛いのに足全体をぶつければあまり痛くない法則。)


やはり無理そうだ、などとぼやいてみては右胸に掌をあて、
心臓が動いていないことを確かめる。
(当たり前のことを確かめていないといつか間違えそうでこわくって、)


あなたの代わりに壁とくっついていると己の鼓動の
反響か、壁の鼓動か、ただの記憶か
耳ざわりに どくんどくん あなたを思い出す音が聞こえる。
(そこで眠りたくなる
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