4月の蛇になれば彼女は 〜皆殺しの哲學〜/人間
事の無い顔で最後の会話を楽しんだ
相手を選ばない言葉を慎重に選ぶ彼と「焙じ茶も有るぞ」と
熱っぽい話をやや冷ややかに語る横顔の彼女は7月の燕になって防空壕を飛び立ち
小さい翼で空を支えながら世の末に切り立つ断崖絶壁に真っ赤な巣を作り
情緒不安定で注意散漫な混乱する海上の波を聞いていた
彼の計画を聞き出しながら「別に、お前を心配して言ってる訳では
ないからな。絶対」と彼女は不備や修正点を指摘して
彼女の話を聞き入れながら「自信は、あんまり無いけど、
やれるだけやってみる」と彼は防空壕に響く声に返事をした
戦争を知らない彼は平和について口角から泡を飛ばす必要は無かったし
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