「熱帯夜」/ソティロ
運ぶので嫌だ
いつも追われているような
焦っている夢や
大事なところで
水中にいるみたいにうまく動けなかったり
声が出なくなったりする
助けを呼べない
時々近くの国道をバイクが
ばーんばば、ばーんばば、ばーん
と騒音を立てて通ってゆく
右の手首を手前へ、
奥へと上手に捻っているのだろう
移動する、
という本質とはあまり関係のなさそうな
音量と旋律が時には重なって通り過ぎる
彼らは夜を切り裂きたいのかもしれない
そうだとしたらとても無謀なおこないだ
でも
そうだとすれば彼らのこころを
ぼくは好ましく思う
夜やその他一切のちからに対するおそれ
を持
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