「 マグロ退治の午後。 」/PULL.
 
こともない。もしやこれは、あたしが食べ残したいずこのマグロの祟りだろうか…。
 あたしはここで、ようやく気がついた。普通配達員なら、事前に配達先に電話連絡を入れるものだ。そんな電話はなかった。あたしとしたことが、ここにいたって気づくとは!ぬかった!。やはり臨眠態勢で注意力が散漫になっていたか、それにしても口惜しい。
 そういえば昔、ニュースで配達員を装った強盗の事件を見たことがある。それだろうか?いや、それにしてもマグロとは…あやしい!あいつはあやしい!。決めた。あいつはあやしいマグロ男だ!。
 あたしはめらめらと怒りが沸き上がり、布団を投げ捨て、すっくと立ち上がった。こんなにすっくと立ち上
[次のページ]
戻る   Point(2)