「 おちんちん電車。 」/PULL.
 
いって、
あたしの前には大勢の知らない街の街行く人達がいて、
大勢の知らない街の街行く人達は口々に知らないことばであたしに何か叫んでいる。
あたしは嬉しくなって知らない中年男のおちんちんの大きさやその奥さんの変わった性癖や双子の幼稚園児のおねしょの大陸の形やメス犬の交尾のことまでを話し続ける。
興奮した大勢の知らない街の街行く人達はあたしを取り囲みもみくちゃにされあたしは知らない方法で次々と抱き締められる。
抱き締める終わると大勢の知らない街の街行く人達は大声を上げ一人また一人と知らない街角の向こうに消えていなくなり。
気が付くとあたし、
知らない街の街角で一人、
話し続けていた。
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