「 おちんちん電車。 」/PULL.
 
ことを考える。

考えながら歩いているといつも線路を外れて、
知らない街で朝を迎えている。
知らない街ではあたしとツミヲとツミヲのおちんちんのことなど誰も知らなくてあたしはここよりも開放的になって、
コンドームを使わないツミヲの精液臭い奥さんの名前や、
ツミヲの精液から生まれたおねしょ臭い双子の幼稚園児の名前や、
生理のなくなった一匹のメス犬のことを、
街行く人達に話して回る。
知らない街の街行く人達は知らない中年男とその奥さんと双子の幼稚園児とメス犬の話をはじめての聞くことのようにうんうんと頷いて黙って聞いてくれる。
話している内に知らない街の街行く人達は一人一人と増えていっ
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