【小説】月の埋火/mizu K
 

 十五夜の満月さんを過ぎると、月の出が少しずつ遅くなる
でしょう、それぞれ呼び名がありましてね。ああ、聞いたこ
とがあります、たしか立ち待ち月とか。そうそう、それは十
七の月のことです。十六日がいざよい、十七日が立ち待ち。
では、十八日は。居待ち月、座って待つくらいのうちに月が
あがります。その次は寝待ち月。寝て待つのですか。そうで
すね。草っぱらに寝転がって待つのかしら。縁側でお酒を飲
みながら、ということもあるでしょうね。なるほど、縁側で
寝酒。煙草もぷかぷか。おだんごも食べたりして。くすくす。
 そうそう月といえば、と祖母はくすりと笑った。ときどき
こんな笑い方をす
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