記憶の断片小説・ショートシネマ 「ロイド」/虹村 凌
 
頃の僕は、大半の時間を実家で過ごしていたのは事実だった。
「ねぇ、りょーちゃんもやる?」
僕の方を見てコントローラーを差し出すロイド。
僕はそれをやんわり断って、
「見てるだけで楽しいから大丈夫だよ」と言いました。
彼女は画面に顔を向けなおすと、伊達政宗でゲームを攻略開始しました。
画面の中で、バッタバッタと人が斬られていきます。

突然に、机の上の携帯が鳴りました。
彼女は真っ白く細い腕を伸ばして、携帯を手に取ると、
にっこり微笑んでこう言いました。
「ふふ、私のダンナさまから」
僕は平然を保って(少なくとも、僕は平然を保ったつもりでした)、
にっこり笑って、「そう。よ
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