記憶の断片小説・ショートシネマ 「ロイド」/虹村 凌
て突き出されたケツの穴みたいな口から、
本当にボソボソと吐き出したのである。
ロイドはあきれ、ライチは大笑いしていた。
あぁ、恥ずかしい。今だったら、もうとっくに押し倒しているのに!
僕はどういう流れで、彼女とのキスに移ったか覚えていないけれど、
僕は、ロイドをキスをした。ライチの見ている前で、ロイドをキスをした。
ロイドとのキスは、ライチとのキスに比べるとぎこちなくて、
矯正器具を付けた歯は、少しデコボコとした感触だった。
唇を離した瞬間に、ロイドは小さな声で
「下手でごめんね。下手なキスでごめん」
と言ったのを覚えている。それでもロイドの舌は柔らかくて、
ちゅるりと絡
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