記憶の断片小説・ショートシネマ 「ロイド」/虹村 凌
 
と絡んでは離して、絡んでは離して。
ようやくエンジンがかかり始めた僕は、ロイドのシャツの中に右手を滑り込ませた。
僕の右手がロイドの左乳房に覆いかぶさった瞬間に、
「小さいから触らないで」
と、恥ずかしそうに言うロイドの声が聞こえた。
僕の右手を、ロイドの左手が軽く払う。
僕は再び、ロイドのシャツの中に右手を滑り込ませながら、
「どうして?」と聞く。今度は彼女の下着の中に、一気に滑り込ませる。
「あんっ…もう駄目。遅いよ。」
と言われた。駄目スロースターター人間は、絶好のチャンスを逃した。
しばらくの間、僕はロイドの唇や頬、首筋にキスをしていたが、
それも終わると、少し見詰め
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