俺の隣でソイソースグラスホッパーが「もう喋るな、話が噛み合わねえ」と泣いた/人間
 
している。産まれはどこだ、お前は」
「俺は」
俺は茶碗を片付けて浸け置きしてあった食器と一緒に洗った
切れかけの電球がプチプチと点滅して後頭部を小突き
射落とされたカワセミの腹のように夕日が鳴った
「哀れなものだな。自意識ってのは」
キチキチキチキチキチキチキチキチキチキチキチキチキチキチキチキチキチキチキチキチ

空の猫背をジッパーで開くように
まばたきの多い飛行機が北へと亡命し
影の薄い衝撃波が窓をノックして歩いたが
誰にも相手にされず 結局 電柱の陰で野垂れ死んだ
野良犬の小便に溺れて
「太鼓橋で拾ったんですよ、命を。
交番に届けたんですけど、落とし主が他界してた
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