俺の隣でソイソースグラスホッパーが「もう喋るな、話が噛み合わねえ」と泣いた/人間
 
チキチキチキチキチキチキチキチキチキチキチキチキチ

壁に背中をピッタリと付けて直立し
床と脳天の平行線と壁の交点に
日付時間を書き込んだ名前シールを貼った
やっぱり今日も
変わらない背
「お前、選挙には行ったのか」
「いや俺、ノンポリ馬鹿なんで、”選”の付くもん、苦手なんです」
「学校は行ったのか」
「まあ、一応。小卒みたいなもんですけど」
窓の外では
街頭演説と竿竹屋と廃品回収の軽トラが怒号を張り上げてネックアンドネックを張り合っている

カラになった茶碗
その中を舐めるソイソースグラスホッパーに
梅昆布茶を出した
「私は土の中で生まれたが、世界節足を自負して
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