葛藤/池中茉莉花
 
位だったことだけは 憶えているの

その記憶だけが 蘇った
とたんに
わたしの頭は痺れ くちびるも痺れ 胸に鉄板が降ってきて ぐんぐん上から
私を潰しはじめた
居間にだらんと ころがった わたしの頭のなかで 
いろんな液体がぐるんぐるん 回りはじめて しまったの

動けない 動けない

呼吸もやっとのわたしは 
あなたがいないことを 想った

恨む相手も いないのだと

それよりも なによりも
あなたが この世に いなくなってから
憎しみが 哀しみに 変わってしまった
 
あなたの 本当の優しさに 気づいていたのかもしれなくて

だけど こんなに 苦しい
[次のページ]
戻る   Point(2)