葛藤/池中茉莉花
しいのは
あなたから受けた 傷が まだ ぐじゅぐじゅと
くすぶっているからなのですよ
わたしは 自分が憎いのです
もっともっと 愛されなかった子どもたちが
わたしの周りには たくさんいた
でも みんな 自分の皮膚にぺったんと
子どもたちを抱きしめて そだててる
なのに
わたしは あなたからの仕打ちばかりに
こだわって
こだわって
どうして 弱く なるのだろう
本当は わたしは 強いのです
だって 嫌いな医者には「主治医を変えて」と 大声で怒鳴る人間だもの
自分のために 無給で働く医者に そんなことをするような
その強さを 活かせない
ひとを傷つける ことにしか
前を見ることしか できないのだけれど
なんだか 前は視界ゼロの
真冬の 白い石北峠に 見えてしまうのです
先生、それは あなたのせいでは
ないのです
けど
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