夏についてのスクラップ/水町綜助
抜き通りだ
プラスチックを切り抜いただけの
花飾り
からからと回って
黄金に満たされた
街路に人はいない
どちらへいけばいいかわからなくて
聞く人もいないから
僕は西へ行った
山道は曲がりながら伸びて
森の透き間をつらぬく光は
幾何学様
切っては
はりつけられ
また、切られては
はりつけられる
光はそれでも注がれた
読み飽きた本を片手で
めくるはやさで
とじられたのは
いつか
*
鉄橋の下は
黒い川
精霊流しが
ちらついて
消える
生きている
ひとびとは
合わさって
天球として
夜空と町の
合間に浮かぶ
完結
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