哀しみ皇子(9)/アマル・シャタカ
 
感謝に入り混じって、涙を拭うのだろうな」

やっぱりぼくは異世界にいるんだと思うのね
でもさ、太郎さんと花子さんは嘘がないんだと思うのね
どうやったら二人でいられるのかって考えているのが、ぼくにはとくに心に響くのね

「お互いの不完全さを罵り合えば、どんな人間だって、永遠にいっしょには暮らせないだろうさ
ただ、それを越えてなお、その相手といっしょに生きていきたいと思うかどうか、そこなんだろうって、俺は思うんだ
条件ではなく、どうやったら、二人が必然になれるのか、それがね、俺のここに住む答えかな」

とうさん、かあさん、ぼくはさ、大人のことはわからないんだよね
必要とし合った二
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