哀しみ皇子(9)/アマル・シャタカ
 
もオジサンが好きで、オジサンも皇子のことが好きで、だから、皇子の流す別れの涙の意味も気持ちもオジサンにはわかったんだろうな」

やさしさは、哀しみの共有から生まれるものなんだ・・・・

「皇子、だから、俺があいつの涙を拭ってやれるのは、俺もあいつと同じ哀しみを持っているということになるのかな
お互い、もどかしいほど相手を欲しているのに、上手くいかないときとかね、あいつはよく泣く
そして、俺は、こんな世界にあいつを閉じ込めて、それでもなお、あいつを泣かせてしまう自分のふがいなさや、ここを出て行かずに居てくれるあいつの気持ちにね、やりきれない自分に対する哀しさがあって、それがあいつへの感謝
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