哀しみ皇子(9)/アマル・シャタカ
は表面上じゃないかな」
やっぱりそうなんだあ
「俺はね、あいつの涙を拭うときは、あいつの涙がわかるときなんだよ」
涙がわかる?
「そう、うまくはいえないけどね
あいつの涙が俺に伝えるものがあって、なんとなくね」
あ!そうか、わかったよぼく!
加わるやさしさって、涙を流している人の気持ちがわかって拭ってくれる人の涙なんだ
とても大切に思う人の涙を拭うこと、その人の哀しみを共有できる心、それが、やさしさなんだね!
「その職人のオジサンに確認してみないとわからないけどな、俺にも
皇子がオジサンと別れるときに泣いた涙をオジサンが拭ってくれて、それが宝石になったということは、皇子もオ
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