哀しみ皇子(9)/アマル・シャタカ
 
ね、血まみれになっても、立って居なくちゃならないときがあってね
そうでなかったら、相手が皇子を見失ってしまうだろうから
人身御供じゃないけど、殉教みたいな気持ちはないと無理かもしれないね。」

なんか、ぼくには無理な気がしてきた・・・・・

「あははは、皇子はまだまだこれからだから」

ねえ、太郎さん、例のさ、やさしさの加わった涙についてなんだけど
ぼくは花子さんに聴いたことを太郎さんに伝えた
「あいつ、そんなことを」
太郎さんは微笑んだ
ぼくはね、誰かに拭いてもらう涙かなあとか思ったんだけど、花子さんは、ちょっと違うみたいだったんだよね
「そうだね、拭いてもらうことは表
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(2)