哀しみ皇子(9)/アマル・シャタカ
ん、ぼくはさあ、幼馴染のミヨちゃんが好きなんだ
人に教えるのは太郎さんが初めてなんだけどね
ぼくらも太郎さんみたいになれるのかなあ
「なんだい、皇子、俺たちみたいになりたいのか?」
なんだかね、よくわかんないんだけど
「ミヨちゃんが、皇子のことをどう思っているかわからないけどな
ただ、皇子が誠実に差し出すことが重要なんじゃないかな?」
差し出す?
「そう、人間なんて不完全だから
好きな気持ちが相手を傷つけたり、そんなつもりがなくても追い込んだりしてしまう
だからって、それを恐れていちゃ、何も始まらないし、乗り越えてもいけない
ただ、誠実に、自分をね、差し出す
傷だらけでね、
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