哀しみ皇子(9)/アマル・シャタカ
いろいろ聴いたんだよ、ぼく
「聴いたってなにをだい?」
ぼくは花子さんから聴いたことを話した
でね、花子さんはどうでもいいっていうけど、ぼくは太郎さんと花子さんが愛し合っているんだなって思うんだ
「・・・・・」
太郎さんは答えなかった
ちがうの??
「皇子、これは誰かが言っていた言葉だけどね、愛というのは、幽霊と同じ、誰もが口にするが、見た人は少ない・・・・そういう言葉があってね
だから、俺にも愛し合っているかどうかは、実はどうでもいいんだよ」
えー、やっぱり・・・ぼく、ショック
「ははは、すまんな、皇子、夢を壊すようで
そもそも、本当に愛なんてものが俺たちにあるのなら、ここ
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