仲間内ケミカル/カンチェルスキス
 
「趣味は楽しい〜」
 気づけば、他の部屋からも火が噴き出している。呼応するフキダシだ。
「わたしも〜」
 消防マン体質の人がいればすぐに緑色の家庭用ホースを首に巻きつけて、消火のための署名活動を行っただろう。だが、残念ながら、この日に限って消防マン体質の人は自宅でクレヨンしんちゃんを見ながら号泣している。不思議と消防車やパトカー、救急車などの公共機関のサイレンは鳴らないし、車もやってくる気配はない。これが趣味であることを彼らはわかっていたのだ。
「すんません、ちょっと用事があって遅れました〜」
 爆発音とともに、元からあった炎のフキダシが呼応する。
「今日は、やらないのかと思ってました
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