仲間内ケミカル/カンチェルスキス
なったという言葉だ。いっしょに楽しめるものがあると、お互いの心が結びつきやすいそうだ。まあ、そうだ。喧嘩したとしても、共通の話題があればふとしたきっかけで、例えば、お互い猛烈な阪神ファンだったら、今岡がホームランを打ったのをテレビで見るだけで仲直りしてしまう。血のついた包丁を握った手を下ろして、妻は明日のサンドウィッチの食パンを薄くスライスしはじめるだろうし、血のついたチェーンソーを構えた夫は、庭に作りかけたログハウスの作業を再開するだろう。もちろん、共通でなくてもいい。お互い尊重しあえる趣味でさえあればいいのだ。いや、尊重しあわなくてもいい。一方が、一方を食い尽くしてしまうような弱肉強食の趣味の
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