黝い手跡 (あおぐろいしゅせき)/こしごえ
青い血で書かれた水曜性は、
万年青(おもと)の実となって赤く結ばれる。
ある、いは、いつになく遠く静かな空で、ある。
店員が しきりにすすめてくる
玄関先に どうかしら
と自分に問う
がしかし 私は迷信だと思う
縁起がいいだなんて……
けれど赤い実を見てみたい
常緑なのもいい
結局玄関先に連れて来た万年青
(今日からうちのこ)
深海の重さだったね
青いヒレで泳いでいたんだ
たどりつくこともないまま
全て 変わりつづけていくね
ここはどこ (
世界の。)(
真空の静脈でつながれている)
波が黒い船を浮かべて
未踏の地を探し求めてしまう
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