黝い手跡 (あおぐろいしゅせき)/こしごえ
 

孤独なんだろうか
( 、大空をあおぐ深海魚
噫)!


不自然な雑音(ノイズ)もきこえてこない
仄明りの部屋で黒光りする
万年筆が ブルーブラックのインクを
黄金のペン先から伝えたのち
園芸日記に あたらしい名を記す
そ、れは〈未通過の自転車が輪舞する水曜〉
あるいは〈無名骨〉と、いう
私はまだあの子のことは知らない
これ、からだ








※万年青(「おもと」又は「まんねんせい」という名称。)
→ユリ科の多年草。




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